8 参考文献よりの抜粋(書籍も是非お読みください)

『微生物の力で健康造り』

        微生物学者 井上真由美著      オーム社 より引用

人と共生して生活を守る微生物 (P9)

人の皮膚は、微生物が海原のように表面を覆っています。常在菌と呼ばれて、国を護る軍隊と同じ役目をしているとされています。人間も動物も体表は微生物まみれなのです。このことからも、微生物は不潔だという意識自体が大きな誤りと言えます。神経質に必要以上に洗浄力の強いソープやシャンプーは使わないのが賢明かもしれません。幼児や子供たちの方が活性の強い微生物で、体を十分に守られているらしいのです。床の上を這い回り、好奇心が強いので何でもよく見つけては口の中へ入れても病気になりません。


「赤ちゃんの体や皮膚はデリケートだから特別の配慮が必要だ」というのは、大人の不確実な当て推量と言えます。化粧品や石鹸メーカーはそれを商売の手段にして新製品を使わせようとしています。冷暖房のメーカーまで赤ちゃんに優しい機種を、と宣伝しているのは、本質を履き違えてはいないでしょうか。この世に誕生して、自分の体を、初めての厳しい環境にどのように順応させたらよいのでしょう。微生物が的確な援護をしてくれていることも少しずつ推量できるようになっています。まだ十分に解明されていないことも多いのですが、微生物に対する正しい認識が、今後、より進むことを願うばかりです。

洗顔と入浴の習慣 (P135)


朝、目覚めたら顔を洗い、歯を磨くという習慣は、子供のころから教えられてずっと続けています。最近は微生物に対する正しい知識の欠如から、「バイ菌は敵だ」と嫌う傾向が強まっているために、消費者の無知につけ込んだ抗菌商品が非常によく売れているといいます。清潔好き日本人、近ごろは毎日何回も入浴する人が多くなって綿密に体を洗うのがよいという風潮が見られます。ボディシャンプを数種も使ったり、朝シャンは若者に流行しています。


しかし洗い過ぎるとマイナス効果になるのです。毛穴から絶えず分泌されている皮脂と汗腺から出る皮脂は汗と混和して乳化して皮膚の表面を薄く覆って外敵の侵入を防ぐバリアになっているのです。皮膚に常在している細菌やカビ、特に表皮ブドウ球菌などが十種類も活動しています。このブドウ球菌には病原性はありません。皮膚一平方センチに1000から10万個ぐらい増殖しているといわれていますが、この微生物が人にどのような利益をもたらしているかは、実はまだよくわかっていません。外から侵入する病原菌の付着と増殖を妨害している可能性があります。皮膚の常在菌は物理的に表面を占有したり、皮脂を酸性に保って病原菌を寄せ付けない重要な役目を果たしています。人も動物も体表の微生物が危険な病原菌の侵入を食い止めている事実を十分に理解したいものです。


従って入浴の回数を多くし、清潔にと考えるあまり、強力な洗剤や石鹸で体を洗いすぎると、必要な皮脂を失う結果になって、ドライスキンになり、皮脂がかさかさになって炎症と激しい痒みを感じるようになります。この症状は70歳以上の老人に多く見られます。これは皮脂の分泌が老人では衰えているので、洗い過ぎによって起こる症状ですから、入浴の時石鹸を使うのを止め、入浴後ワセリンを皮膚に塗ると次第に直ってきます。今では若者にも多いとか。ドライスキンになると、埃り、紫外線、汗、薬品などが刺激になって湿疹や皮膚の炎症を起こしやすくなります。皮膚の常在菌を洗い流さないことが賢明といえます。


0歳児から8歳ぐらいの幼児の体表は活性の強い常在菌が体一面にまみれるほど付着しています。納豆の粒の表面と同じ理屈だと思います。納豆のほか、表面が真っ白にカビに包まれているカマンベールチーズは外敵の侵入を完全に阻止しているので、腐敗菌や病原菌の被害を全く受けないのです。赤ちゃんや幼児は肌がデリケートだから細心の注意と心づかいで守らなければと、一般には言われています。しかし、彼らは活性の強い微生物が体表に活動して安全に外敵から守られていることを忘れてはいけません。子供と一緒に入浴するときは、洗い流したりせずに遊ぶのがいいでしょう。活性の優れた常在菌が、こちらの体に移行することだってあるかもしれません。・・・・中略


朝、顔を洗い毎日入浴してよく体を洗い、食事の前には手を洗うのが衛生上好ましいという70年以上も続いている教育と習慣を、このあたりで再考するのも無意味ではないでしょう。
野生動物は入浴はしません。河や湖で泳いだり水浴をしたりはしますが、水浴もしない清水の嫌いな種族もいます。土に潜り込んで体を回転させ、体の表面に土を付着させている光景はしばしば目にします。これは、体表に寄生している虫を駆除するための行動なのだそうです。体の表面に土や微生物がたくさん付着しているために安全に健康に生きていけるのかもしれません。
(以上で引用終わり)


その他の参考文献
カビの常識 人間の非常識  井上真由美 著 平凡社(v1.02)
・ 最新の著書。著者は1月に1回位しか入浴されないそうです。

参照したEM関係書籍
EM医学革命          比嘉照夫総監修       総合ユニコム
地球を救う大変革 3冊   比嘉照夫著          サンマーク社

無浴法そのものの紹介は

総合環境雑誌『エコピュア』 2003年9月1日号介護特集に関連記事