天然EM無浴法



 無浴子は2008年から現在まで、米糠をベースにした自然卵養鶏を学びました。そこでは微生物資材は使わず、米糠常在の微生物群をフルに活用した飼料作りがメインです。EMではボカシの資材やEMの培養液にすぎなかった米糠が、微生物資材の種菌であるかのように活用できることに、驚きを感じました。

EMをうんぬんする前から、すでに米糠には、共生する有用微生物群が高密度で生息している、そう考えなければ説明のつかない、さまざまな効果を目の当たりにしてきました。いろいろな善玉微生物を分離、活用できましたが、主力は乳酸菌です。

米糠の有用菌群は大変強力で、毎日仕込む飼料が、腐敗の方に傾いたことは、ただの一度もありませんでした。このことから米糠常在有用菌群は、米糠の微生物群を占拠していることが分かります。大腸菌などの雑菌や病原菌が入り込むすきがないほど、有用菌にガードされています。(その理由が分かったのは、フルボ酸に出会ってからです。)

したがって、米糠とぎ汁発酵液の作り方も簡単で、とぎ汁を密閉して日なたに置いておくと一週間ほどで乳酸菌発酵液ができます。とぎ汁がすでに有用菌優勢であるため、失敗する率は少なく、EM原液や、EM発酵液を添加する必要はありません無浴子はこの有用菌群に 天然EM という名前を付けました。

これが天然EM誕生の物語です。前回2008年の書き込みから現在まで、ほとんど、天然EMの探求に費やしました。そしてはっきりとわかりました。比嘉先生によって作られた製品EMはこの天然EMの働きと組成を分析総合した上で、製品化に成功したものだと。嫌気性菌と好気性菌の共存共栄も含めEMは自然と土壌ありよう、土壌菌群の性質に下敷きがあったのです。ただしここでの土壌菌とは土に生息する微生物一般のことではありません。有機質土壌を生成する微生物群のことです。

福島第一原発の爆発と放射能漏れによる日常的人体内部、外部の被曝は深刻です。これに対し、米のとぎ汁乳酸菌による被曝からのガードを提唱されている飯山一郎氏を知るにつけ、自身の認識と理解に誤りのないことを確信し、ここに天然EMの無浴法への活用法を記載することにいたしました。

ただし、天然EMを構成する微生物群=土壌菌の本来の働きは、発酵で終わるのではなく、腐植を作り出して、土壌を生成することです。発酵はその一過程に過ぎません。天然EMをより安定的に活用するのであれば、有機質土壌を作り出す腐植前駆物質、フルボ酸を加えて、微生物群をリードするのが理想です。

厳密に天然EMを定義するには、次の表記が適当かと思います。

  土壌前駆物質(フルボ酸など) + 土壌菌 = 天然EM 

下記の天然EMの作り方に、腐食前駆物質リードアップCCを添加されることが理想ですがそのままでも十二分な効果を発揮してくれます。

● 天然EMのパワー

 天然EMの作り方は簡単です。米糠、籾、玄米に常在している土壌菌を培養して種菌とします。これを『天然EM』原液と呼びます。製品EMでは、『EM』に相当します。天然EMの乳酸菌の力は、製品版EMをはるかに凌駕します。なぜか、たぶん製品を長期安定させるために乳酸菌の活動を抑えていると思われるからです。論より証拠、製品版EMしかお使いになったことのない方は、天然EM培養液をおつくりになって比較してみてください。あまりの違いに驚かれるはずです。
私の体験を一つ。便の臭いです。長い間製品EMを愛用してきましたが、生来私の大腸の働きはあまり活発でなく、便の臭いが消えるという体験をしたことがついぞありませんでした。大量に、高濃度の活性液を服用しても、なんの変化も見られませんでした。しかし、天然EMを一口飲んだ次の日、初めて無臭の便を体験することができたのでした。
浄化槽での違いも目を見張るものがあります。汲み取り式の便槽に毎日活性液50ccを加える比較試験では、冬場に著しい違いが出ました。夏はほぼ液状化させた製品EM活性液でしたが、冬場は固形物が残りましたし紙なども識別できました。当然臭いも絶無ではありませんでした。一方の天然EMの方は、すさまじい、夏冬を問わず、固形物は残らずほぼ完全な液体となり、完全無臭、そのまま広範囲に液肥として用いて誰もそれと気づくことはありません。
以後フルボ酸に出会うまでは天然EMが無浴子の主力になりました。

● 天然EMの作り方

天然EMの作り方は簡単です。米糠、籾、玄米に常在している土壌菌を培養して種菌とします。これを『天然EM』原液と呼びます。製品EMでは、『EM1』に相当します。
この種菌を拡大培養して、20〜30倍の活性液を作ります。これはEM拡大液の作り方と全く同じです。
またこの天然EM原液を米のとぎ汁に、1%〜5%加えてとぎ汁発酵液を作ります
以下、糖蜜添加のどの場合も、発酵を加速させるために砂糖を少々加えることをお勧めます。乳酸発酵のレベルを知る指標としても便利です。甘みのある間はまだ発酵が不十分と判断できます。
出来上がりは、それぞれ確認していただくほかありませんが夏場で1週間、冬場で2週間くらいを要すると思います。ボトルが破裂するほどの発酵もあれば、ジワリと、、何事も起こらなかったかのように完了していることもあります。
糖蜜の場合は2~4週間、発酵が進みます。

○ 天然EM  原液の作り方 (拡大活性液の種菌となる原液です。)

籾か玄米             1   合
粗塩              0   g 
糖蜜の場合          100   cc  
(砂糖少々を添加して発酵促進用)
(なければ 黒砂糖       0   g
酢、レモンなどの有機酸      5   cc なくてもよい。 
40度前後のお湯        以上を合わせて2リットルとする。
 右写真 籾より培養した天然EMの原液 夏ならすぐに泡が出はじめる。玄米は有用微生物群にガードされている。

 天然EM  10倍拡大活性液の作り方 (EM拡大活性液と同様の使い方をします。) ペットボトル1本分


天然EM原液         200  cc      
粗塩              20   g 
糖蜜の場合          100   cc
黒砂糖の場合          0   g 
酢、レモンなどの有機酸      5   cc なくてもよい。 
40度前後のお湯        以上を合わせて2リットルとする。

 天然EM  とぎ汁発酵液、米糠とぎ汁発酵液の作り方 


とぎ汁+40度前後のお湯  以下を合わせて2リットルとする。
天然EM原液          20〜100 cc なくてもよい
粗塩              10   g 
糖蜜の場合            5   cc
黒砂糖の場合          50   g    糖蜜があれば不要
酢、レモンなどの有機酸      5   cc   なくてもよい。 
※ 米のとぎ汁の場合は、薄いので乳酸菌発酵がうまくいかず、納豆菌が繁殖して臭いがきつい場合がある。有機酸は乳酸菌発酵をリードし納豆菌主体(アルカリ環境)になるのを防ぐ。
※ 天然EM原液がなければ、前回作った発酵液を少々足すと早くできる。何も入れない場合やや時間はかかる。

 とぎ汁の作り方

米のとぎ汁の場合、精米機の性能によってとぎ汁が大きく異なります。最近の精米機はぬかの成分を除去する能力が高く、無洗米に近づいています。そのようなとぎ汁は皮膚への使用には差し支えありませんが、毎回安定した発酵は望めませんので、飲用にはお勧めできません。


長期保存したい、安定した発酵液を使いたい、自己責任で乳酸菌飲料として楽しみたいという向きには、右写真のように米糠から砥ぎだすことをお勧めします。天然EMの場合は、製品EM添加の場合と違って、米糠から高濃度のとぎ汁を使っても納豆菌による悪臭が発生したりすることはほとんどありません。2Lのペットボトルで作る場合、米糠を50g位使うのがよいでしょう。


参考情報

飯山一郎氏 とぎ汁乳酸菌関連情報サイト  http://grnba.com/iiyama/

飯山氏の『乳酸菌』はここでいう、天然EMと同じものです。抽出純粋培養された乳酸菌単体ではなく、玄米に生息する天然のままの土壌由来微生物群、乳酸菌あり、酵母あり、糸状菌あり、放線菌あり、納豆菌あり、光合成細菌あり、それぞれを抽出して利用することができます。ということは、『乳酸菌』は表の看板で、天然に分布する土壌菌群のことであり、その割合から当然乳酸菌がトップに出てきます。これは製品EMも同じで、大部分が乳酸菌からなっています。であればEMもまた乳酸菌資材と呼んでも誤りではないでしょう。ここのところ、誤解のないようにしてくださいね。

氏の提唱されている乳酸菌風呂は素晴らしい。比嘉先生もお風呂にとぎ汁発酵液を加えることを教えておられますが、飯山氏はさらに進めて風呂場を放射能からの自由空間にして避難、養生の場所としています。防護室とは画期的なアイデアではないでしょうか。

無浴子としても乳酸菌風呂はお勧めしたい。無浴の趣旨に反するではないかとの声が聞こえそうですが、そうではなく、乳酸菌を身に纏うことは、無浴法の第一歩なのですから。この乳酸菌風呂を3か月も続けると、皮膚の本来の働きが蘇り、人はもう風呂に入らずに済む体になるでしょう。(ただその場合は、はっきりした自覚変化が皮膚に起こります。石鹸を使わないか、少なめに使う、石鹸で洗ったら、その皮膚に天然EMを十分塗布することです。)

無浴法は乳酸菌風呂という防護室ではなく、風呂場から出ても、なお放射能から自身の体が安全であるような、天然の防護服を皮膚に纏うことです。